当研究会における目的

当研究会では情報化をテーマとして、計量経済分析の基礎と応用を学ぶ。

情報化とは流行語である。しかし、よく考えてみれば誰もが気づくように、その内容は実は明瞭ではない。なんとなく雰囲気的に情報化という言葉が使われている面は否めない。巷に出回るほとんどの解説書は情報化の印象論であり、読後感はむしろ茫漠とすることの方が多い。

しかし、それにも関らず、情報化現象が進んでいるという言い方には説得力がある。この説得力を支えるのはここ数年連続して起こった印象的な出来事である。たとえば、インターネットの急成長、シリコンバレーの隆盛、短期間でトヨタやGMに匹敵する株価総額を獲得したネット関連企業の登場などは我々を驚かせた。90年以降の成長率の日米逆転の一つの理由はこれら情報通信産業でのアメリカ一人勝ちが一因である。

当研究会では、この情報通信産業を、理論的・実証的に着実な分析を行うことをテーマにする。ただし、理論分析はまだ学会でも暗中模索の段階であるので、研究会での実際の作業は計量的分析が主体となる。この分野はデータが未整備であるので、まずデータの収集から始めなければならない。

理論の学習→仮説の設定→データの収集→計量での実証

という通常の研究サイクルを、ごくごく小規模ながらも一通り体験してもらうのが本研究会の目的である。


運営方法

計量分析の方法を知らないと話にならないので、最初の2~3ヶ月ほどは、計量分析のトレーニングを行う。かなりしごくので覚悟されたい。
その後、平行して情報化に関連する論文を読みはじめる。この分野は教科書というものが存在しないので、必然的に読むものは論文となる。学部生にはやや難しいものもあるが、わからないところは私に聞くなどして食らいついて何度も必死に読むと少しづつ見えてくるものである。その「食くらいつけば分かってくる」感覚を身につけていただければよい。このような体験は、諸君らが会社に入り、突然やや難解な資料を読んで報告しなければならなくなったときに役立つだろう。これらの論文読みの作業と平行して学生は興味関心ごとにグループごとに分かれる。

三田祭の発表も卒論も、計量での実証を求められるので、学生は何らかの仮説をたてデータ収集を行う必要がある。論文読みはそのための作業であり、常に実証可能な仮説を論文のなかから読み取ることが望まれる。データ収集は手作業の部分が大きい。必要なデータを見つけること、入力すること、さらに自分で簡単な調査を行うことなどが要請される。これはこの分野のデータは整備されたものが少ないからである。このような作業は泥臭いが、実は実際の調査活動の中核であり、学生諸君の将来に役立つと期待している。